STUDY
学び
5/15100年に一人
ものの見方の天才デザイナー梅原真さんスペシャルレクチャー
「宝物は足元にある!」
ゲスト:梅原真さん
2022年5月15日配信
広告業界の中で、ひすいが最も会いたかった人……
それが梅原真さんです。
なぜ、梅原さんに会いたかったのか?
100年に一度の天才だからです。
僕は「ものの見方」を追求している作家ですが、
梅原さんは、この「ものの見方」の大天才なんです。
僕には梅原さんが
ダンディなアンパンマンに見えます。
アンパンマンは、自らの顔を食べさせて困ってる人を元気にしますが、梅原さんは「ものの見方」という武器で、倒産寸前の状況や商品が売れなくて困ってる人の人生を大逆転させてあげるんです。
梅原さんの「ものの見方」の大前提は、
ないものはない。
あるものに目をむけ。
あるものを活かし、
そこから新しい価値を生む。です!
だって、
宝物は、
すぐ足元にあるからです!
この視点は僕らが幸せに生きていくためにも
最も重要な視点だと思うんです。
僕は梅原さんの広告作品を見るたびに、
「足元をなめんなよ。
いつだって、足元から、
大逆転を起こせるんだよ」
と言われてる気になります。
まずは、梅原さんの大逆転広告事例を3例見てください。
━━━━━━━━● CASE STUDY1「栗」
高知県 四万十町は栗の産地として知られていましたが、安い中国産に押されて価格が下がりに下がり衰弱。高齢化の波も手伝って、山は荒れてしまっていました。
10年も手付かずの荒れた山……
もう、アカン……
梅原さんに言わせたら、そのものの見方が
「アカンヤンカ!!!」となります。
ちなみに梅原さんは、現状を「アカンヤンカ!」と喝破して、その後に起死回生のアイデアが出てくることから「アカンヤンカ」マンと呼ばれています(笑)
「10年も手付かずの荒れた山……
もう、アカン……」
さて、この状況をどう見たら、
逆転劇が始まるのでしょうか?
少し考えてから次を読み進めてください。
「10年も手付かずの荒れた山……
もう、アカン……」
その考え方がアカンヤンカ!
10年手付かずの荒れた山は、
10年も農薬を使ってないと見れば、
宝の山やないか!
これが梅原さんの発想です。
そして「栗そのものを食べる」をコンセプトにして添加物や保存料を入れず、保存のために必要な加糖率も極力抑えた製品を作りました。
梅原さんが名付けたネーミングも四万十町で作られた栗だから、
「しまんと地栗」
しまんと地栗
シマントジグリ
シマントジグリ
シマントジグリ
スタジオジブリ
響きが似てて、思わずクスッと笑っちゃう。
この遊び心が、梅原節なんです!
なんと
「スタジオジブリ」もとい、
「シマントジグリ」新宿伊勢丹で取り上げられ
1日で70万円も売り上げ1週間で500万も売れたのだとか。
10年ほったらかして荒れた山を
10年も農薬を使ってない宝の山と見て
「栗そのものを味わう」
というコンセプトで、
新しい価値を生み出したのです。
足元に、宝があるんです!
しかし、次なる“困ったこと”が起きました。
「梅原さん、助けてください。
売れすぎて、栗がなくなってきたんです。
どうすればいいでしょうか?」
しかし、梅原さんに言わせたら、
栗がなくなってきて困るという考え方が
「アカンヤンカ!!!」となります(笑)
再びアカンヤンカマン登場です!
どこの地域だって、栗が売れなくて困っているんです。
自分の栗が売れすぎて栗がなくなってきたなら、
他の地域の栗に助けを求めればいい。
これぞ!
「おたすけ地栗」
他の地域の栗が助けにきてくれたという設定で、
「おたすけ地栗丹波」などと他の地域の栗と3点セットにして
ジグリフレンズ
として売り出したのです。
これまた大反響でした!
梅原さんは、困ったことを逆から見て、大逆転を起こすのです。
この考え方ができるようになると、困るたびに、新しい価値が生まれて、売り上げが増えていっちゃうんですね。
今やシリーズ商品も多数。
「デザインの目的は、スキルの競い合いではなく、コミュニケーション。食べ物のパッケージを見て『オシャレやなー』と感じるのではなく、『美味しそうやな』と思わせることの方が大事なはずやろ」
梅原さんの言葉です。
今では、山の上には、こんな素敵な工場まで!
他の地域の助けも借りて、しまんと地栗
全国で大活躍です。
━━━━━━━━● CASE STUDY2「カツオ」
さて、次なる事例に移りましょう。
ある日、
「このままでは船がつぶれる。力を貸してほしい」と訪ねてきた方がいました。
その方は、高知の伝統的な“カツオの一本釣り”の漁師さん。
漁師たちが釣ざおで一匹ずつ釣り上げる“カツオの一本釣り” 。しかし、効率を求める現代は、魚群を一網打尽に取り尽くす近代的な大型巻き網漁に移り変わっていました。
網漁は、目的以外の魚や、幼魚も獲ってしまうなど乱獲の心配があるのですが、効率が優先され、伝統的な一本釣りは立ち行かなくなってきていたのです。
効率(お金)ばかりが優先され、乱獲が主流になり、土佐の伝統、カツオの一本釣りという風景が日本から失われようとしていました。
その状況に、梅原さんは、
はい、アカンヤンカです!
では、手間暇かかる非効率の「一本釣り」をどう見たら、新しい価値が生まれるのでしよう?
こんな時も、逆から見ます。
効率を逆から見たら、非効率(手仕事)です。
だったら、徹底的に、非効率(手仕事)にフォーカスを当てて新しい価値を生み出そうと考えたのです。
梅原さんは、昔、家のおばあちゃんが藁(わら)で
カツオを焼いて食べていた風景を思い出した。
藁はストロー状なので酸素を含み火力が強く、表面をパッと焼きながらも、中は生のままふっくら仕上がり、また藁の焦げた風味が少しつくことで、臭みを消して美味しいタタキになるからです。
でも、そんな風景も日本から消えかけていました……。
カツオの一本釣りという非効率(手仕事)に
藁焼きというこれまた非効率(手仕事)をかけあわせたら、新しい価値が生まれるのではないか。
マイナスにマイナスをかけ合わせると
プラスになるように!
そんな発想で、梅原さんがつけたコピーがこちら。
漁師が釣って、
漁師が焼いた。
シンプルなコピーが逆に地元で一生懸命やってる感じや手作り感の印象が残り本質が炙り出されています。
「デザインとは、じょうごに情報をたくさん集めて、
ぎゅ〜っと絞って出た、最後の一滴。
この本質を見える化するのが、デザインの仕事や」
梅原さんの言葉です。
漁師が釣って、
漁師が焼いた
一本釣り
藁焼きたたき
と記されたパッケージで、カツオのたたきは商品化されて通信販売で売り始めたら、これが大ブレイク!
「このままでは船がつぶれる。力を貸してほしい」から、8年で20億円!
20年で50億円の売り上げとなりました(スゴっ!)
土佐一本釣り、そして藁焼きという
日本の伝統的な風景は
売り上げが上がったことで、
ギリギリのところで守られたのです。
足元にあるものを
逆から見たら、
それは、宝物になるんです。
━━━━━━━━● CASE STUDY3「砂浜」
では、最後の事例です。
「お金をかけずに美術館を造れ」
なんて宿題を出されたら、あなたならどうします?
高知市から西へ約100キロ行った高知県西南部の高知県黒潮町に、長さ4キロにもわたる巨大美術館が誕生しました。
天井はどこまでも、どこまでも高い。
100メートル? そんなもんじゃない。
500メートル? そんなもんじゃない。
青天井。
そう、青空が天井なんです。
バックミュージックは波の音。
壁には美しい海や緑の山々が〝描かれ〟刻一刻リアルタイムにその姿を変えていく巨大美術館。
はい。つまりは、ただの砂浜です。
この美しい砂浜こそ、高知の財産であると、
喝破したのが梅原さんです。
「私たちの町には美術館がありません。
美しい砂浜が美術館です」
ものの見方の天才デザイナー梅原真さんです。
そして砂浜に木をさし、そこに、絵や写真がプリントアウトされたTシャツを約1000枚飾った。
すると、Tシャツが風でヒラヒラするんです。
ヒラヒラ〜。
なんという爽快感。これで砂浜が、あっという間に「美術館」になったのです。
梅原さんが、この「砂浜美術館」の構想を役場に、ファックスした文面が下記です。
私たちの町には美術館がありません。
美しい砂浜が美術館です。
ものの見方を変えると、いろんな発想がわいてくる。
4キロメートルの砂浜を頭の中で「美術館」にすることで、新しい創造力が湧いてくる。
時代を少し動かせるのは、一人一人の小さな感性の集まり。
(砂浜が美術館だとすると……)
「美しい松原」が作品です。
沖に見える「くじら」が作品です。
砂浜に咲く「らっきょう」が作品です。
卵を産みに来る「海亀」が作品です。
砂浜をはだしで走り、貝殻を探す「子供達」が作品です。
流れ着く「漂流物」が作品です。
波と風が砂浜にデザインする「模様」が作品です。
砂浜に残った「小鳥の足あと」が作品です。
作品は24時間・365日展示され、時の流れるままに変化します。
BGMは波の音、夜の照明は月の光……
(砂浜から地球のこと、考える)
私達は、考え、行動し、
「今、地球にとって大切なことを伝えていく作品」を作り、「砂浜美術館」から世界中に発信していこうと思います。
(ここまで)
時は1989年、バブル真っ只中で、次々に美しい風景が取り壊されて新しいビル施設が作られてるど真ん中に、その方向はアカンヤロ!と、足元にある宝物(砂浜)に新しい価値をつけて上記の提案をしたんです。
ここはただの砂浜じゃない。
「砂浜美術館」なんだと認識が切り変わったことで
なんと、ゴミを捨てる人が減って浜がきれいになったそうです。
だって、ここは美術館なんですもん。
そして、町の人たちから、この「砂浜美術館」で
やりたいことのアイデアが続々と出て、さまざまな企画展が行われて、今や、この砂浜美術館に年間20万人の人が訪れるようになったのです。
砂浜美術館が生まれて30年。
いま、このコンセプトは世界17カ国に広まり、モンゴルでも「草原美術館」が開催されたりしています。
Mr アカンヤンカマン!
高校時代は、応援団長をしていた梅原さん。
今は、ニッポンの美しい風景を残す応援団長として、
足元の花の美しさを見直そうと
広告デザイナーをやっているのです。
龍馬の生まれたところから800メートルしか離れてない場所で生まれた梅原さん。
龍馬が自ら使っていた変名は「才谷梅太郎」でしたから梅つながりの現代のサムライ。
そんな梅原さんが教えてくれたことは、
逆から見たら、
何もないと思っていたその足元に
かわいらしい梅の花が咲くぜよ
ってことです。
というわけで、オンラインサロン「ひすいユニバ」5月15日号はひすいが高知の梅原さんの事務所にお伺いして聞きたかったことをいっぱい聞かせていただくインタビューとなっています。
もうぜひこれは見てほしいな。
梅原真さんは
「ものの見方」道(ドウ)を歩む、
ひすい憧れの大先輩です。
で、
最後に、
少しおまけの話。
僕の心のヒーロー、梅原さんが連続講座「ひすいラボ」に登壇いただけることになったのです。
(めちゃめちゃ嬉しかったーーーー!!!)
もう、上記のような例が山ほどあって、5時間講座でも、スライドが半分も終わらないという状況でした。
(事例が面白すぎるーー。ワタクシひすい、梅原さんと共著で、ものの見方を伝える本を書きたいという夢が生まれました)
そんなこんなの梅原さん登場回のひすいラボ。
1つちょっとした演出をして梅原さんをお迎えしたのです。
会議室を「美術館」にしてお迎えしたんです。
みんなでオリジナルTシャツを着てお迎えしたんです。
ヒラヒラはしてないですけどね(笑)
オンライン参加メンバー含めて50人、みんなで
一人一人、自分が人生で大切にしたいこと(テーマ)や夢を独自にデザインに落とし込んだオリジナルTシャツを着て、梅原さんをお迎えしたんです。
ちなみに、上記のみほちゃんは、ポケットいっぱい作ってそこに臓器のイラストを自ら刺繍しました。
これは一つ一つ、毎日働いてくれている自分の体の臓器さんたちへの感謝を示し、ポケットの多さは、いろんなギフトを受け取り、その受けったギフトを必要な人に分け与えていく恵の実りのような人として生きたいという意志を表現。
ポケットに沢山の飴を仕込んでいて
みんなにプレゼントするオチも最高でした。
上記の咲良あきさんは、このTシャツで世界平和を表現したんだそう。
アクリル樹脂という化学的な染料とベンガラ染めの泥(自然な染料)をあえて異質の違うもの同士の染料を使い、輪を描くことで違う価値観同士がケンカしない、調和する和(わ)の世界を作っていきたいって想いをこめた。
ちなみに、あきさんはパステルで絵を描くことをしていたんですが、北海道に移住して染めの魅力に開眼しいま、染め物の販売をやってるんですね。
ただ、色ムラができてしまい、均一にできないのが、もっぱらの悩み、ストレスだったとかで、梅原さんに質問しました。
梅原さんの回答はもう即座!まさに秒でした。
「『むら染』って商品名にすればええんちゃうか」
この時のことをあきさんはこう語ってくれました。
「梅原さんの一言で、お尻から太ももまで鳥肌がザワザワと立って、一瞬でパーンと世界が変わったんです。文字通り、パーンと音がした気がしました」
手ぬぐいを染めていて色ムラがでたときに、これまではシュンとなっていたとか。
「こんなにかわいいけど、これでは世に出せない、ダメだ」と。しかし色ムラの部分を逆にネーミングにして、売りにしていいんだという逆転の発想。
梅原さんのそのあまりのスピード回答ぶりに、会場もドッと湧きました。
「むら」を「ムラ」ではなく、ひらがなで表記することで「村」のイメージも加わり、あたたかな印象が残ります。
さらに、その3秒後です!
梅原さんは、
「いや、『むら染』の染も省いて、『むら』だけでええんちゃうか」と。
え?
染めこそ最大の売りの部分だと思っていたのに、
そこまで省いちゃうの!?
と思ったのですが、ここでもまたあきさんに電気が走ったのだとか。
染めの世界は歴史もあり、染め職人たちは、みんな長い経歴を持っている。
だかろ新しく始めて、まだ経験が浅い自分はどこか、それが負い目になっていた。
でも、この梅原さんの言葉に、
「染めすら超えて、
咲良あきを1枚の布に表現すればいいんだ。
私のど真ん中を表現していいんだ」
そう発想が切り替わったのだそうです。
「いや、『むら染』の染も省いて、『むら』だけでええんちゃうか」という一言で、
咲良あきさんにとっての
1枚の布の「本質」(私をここに表現すればいいんだ!)に導いたのです。
(ちなみに、咲良あきさんの『手ぬぐい工房さくら』はこちら https://sakurahappy.thebase.in/ )
本質を射抜き、
それ以外は削ぎ落とす。
まさに引き算の美学。
恐るべし、アカンヤンカマン!
梅原さん、
この度はお会いできて嬉しかったです!
またご一緒できる日を夢見て
ひすいこたろう、日々邁進しておきます!
今後ともよろしくお願いします。
ひすいこたろうでした。
PLAY with LOVE!
▲▲▲アリガ島▲▲▲
最年少の生徒さん。いとかわゆし。
ラスガツ面白かったとお褒めくださりました。
嬉しい。